こんにちは、SATOです。
今回は映画「グランツーリスモ」が、今年を代表する傑作だと思う理由を、3つの視点から解説していきたいと思います。
映画「グランツーリスモ」は、ニール・ブロムカンプ監督による、2023年のアメリカ合衆国の伝記ドラマ映画です。
今作は、10代のグランツーリスモプレイヤーであり、プロのレーシングドライバーとなった、ヤン・マーデンボローの実話に基づいています。
観賞後の衝撃と内容の好き具合でいったら、正直、個人的には今年No.1作品でした。
間違いなく今年を代表する作品になりますし、IMAXなどの大スクリーンで観るべき作品だと思います。
本文をお楽しみください。
映画「グランツーリスモ」のあらすじ
世界的人気ゲーム「グランツーリスモ」が誕生した1997年が舞台で、主人公のヤンは、父親が呆れるほどゲームに熱中する少年でした。
そんな彼が、ある日「GTアカデミー」というプログラムの存在を知ります。
これは、世界中の「グランツーリスモ」プレイヤーの中から、本物のプロレーサーを育成するプロジェクトでした。
厳しい訓練と仲間との競争を繰り返す中で、才能を見出されたヤンは、GTアカデミーに参加します。
元F1ドライバーの厳しい指導、過酷な体力トレーニング、そしてレース技術の向上に努力を重ねる日々を送ります。
夢への挑戦のため、想像を超えるアクシデントや挫折を乗り越え、ヤンは仲間と共に成長していくのです。
そしてついに、運命のデビュー戦を迎えます。
果たして、ヤンは夢のレーサーになることができるのでしょうか?
映画「グランツーリスモ」は、ゲームと現実が交錯する壮大な物語です。
実際にGTアカデミーで活躍したドライバーたちの姿も描かれ、リアリティ満点の作品になっています。
映画「グランツーリスモ」ただのゲーマーが世界最難関のレースに出場するまでの軌跡
考察1 :嘘みたいな実話
今作がまずとんでもなく面白くなっている理由は、実話をベースにした物語であり、かつ、その内容が嘘みたいにすごくて、信じられないくらいにロマンがある話だからです。
今作のモデルになっているのは、イギリス出身のヤン・マーデンボロー。
彼はレーシングドライバーになりたかったのですがその機会に恵まれず、家でずっと「グランツーリスモ」というシミュレーションゲームをしていた訳です。
すると、そのゲーム内でのドライビング技術が認められ、NISSANとソニーコンピュータエンタテイメントが主催している「GTアカデミー」なるゲーマーからプロのレーサーを目指す教育プログラムへの参加を認められ、そこで優秀な成績を収め、プロライセンスを取得。
その後、世界の名だたるレースで優秀な成績を残し、今でも第一線で活躍するスター選手になったという凄すぎるシンデレラストーリーです。
ここまででもう充分、胸が熱くなる展開ですよね。
嘘のような本当の話とは、まさにこの事だと思います。
ゲームはあくまでゲームだった時代に、本当にその世界に飛び込むというのは意味不明なほどすごいです。
プロのレーサーからしたらプロモーション目的のおふざけだと思われますし、プロの業界に長くいるメカニックからも、もちろん煙たがられますよね。
そんな逆風の中、このアカデミーを立ち上げてゲームの可能性を世界に見せつけた欧州日産の社員。
ただのゲーマーをプロで活躍できるレーサーへと教育したチーフ・エンジニア。
そしてとてつもない努力とゲームで培った経験で夢を現実に変えたレーサー。
そのどれも信じ難いほどロマンがあり、映画以上に映画っぽい実話で、鳥肌立ちまくりでした。
物語そのもののパワーというか、夢を与える力があまりにも凄かったので、この話を映画化して、レースに興味がない人にも知ってもらうというのはすごく大事だと思いますし、「どんなに無謀な夢でも必ず叶う」という類を見ない成功体験は、世界を勇気づけてくれると感じました。
実際、僕はレースにそこまで興味がなかったですが、ヤンのようなレーサーがいたら見てみたいと思いましたし、何より、そんなスーパーレーサーをゲームの力で生み出したソニーのゲーム事業への賞賛を送りたいです。
もはやこの作品は、ゲーム映画でもカーアクション映画でもなくて、夢を与えるドキュメンタリーであり、この興奮はいつの時代にもどんな人にでも突き刺さるものがあると、強く感じました。
本作を監督したニール・ブロムカンプは「第9地区」や「エリジウム」などSF作品を手掛けることが多く、僕もTOP3に入るほど大好きな監替なんですが、そんな彼がこの物語に感動して、これまでの自分の作品へのカウンターとして本物の物語を描きたかったとのことです。
驚愕の実話をここまでのクオリティでエンタメ作品に仕上げてくれたことにも感謝したいですね。
考察2:落涙必至の脚本
この物語は基本的に、無理難題への挑戦なので、とにかく分厚くて高い壁にぶち当たります。
そしてその壁を彼らが越えていく時が、本当に涙が止まらないほど感動するんですね。
今回は大きく3つの壁があったと思っていて、1つ目は父親との確執です。
彼の父は元サッカー選手で、ゲームのことを毛嫌いしていましたから、息子としてはかなり肩身が狭そうでした。
しかし、フランスのル・マンで息子との再会を果たし、涙で謝罪と息子への誇りを口にします。
このシーンはもう大号泣でした。
息子の可能性を信じることの大切さを印象付けましたよね。
親と子の絆の素晴らしさを、改めて実感した瞬間でした。
何事も一生懸命取り組むことで、観てくれている人の心動かせるという教訓を、今作から学びました。
2つ目の大きな壁は、レース中に観客を事故死させてしまったことです。
ヤン自身が怪我をしたことよりも、彼の心に大きな傷跡を残すことになり、ゲーム(空想)の世界では絶対に起き得ないことが、レーサーになったことで起きてしまうという辛すぎる状況に直面してしまいました。
これは普通の人間にはあまりにも辛いことですし、プロレーサーとして生きていくことをやめてしまいたくなるほどの大きな後悔と悲しみが押し寄せてきます。
しかし、それを支えてくれたのは、過去に同じような経験をしたチーフエンジニアのジャック・ソルターでした。
彼がヤンを連れ出し、ル・マンのコースを運転しながら、一緒に大きな責任を受け止め鼓舞するシーン。
そしてヤンが、精神的ショックから立ち上がり、プロレーサーへと復帰していく瞬間はとても感動しました。
というかこの映画を通じて、MVPは間違いなく、ジャック・ソルターを演じた、デヴィッド・ハーバーなんですよね。
「ストレンジャーシングス」で一躍時の人となった彼ですが、強面だけど優しいおじさんを演じる能力が非常に高く、今作でもヤンたちレーサーへの厳しくも優しい歩み寄りが本当に彼らを支えていたと思います。
デヴィッドは今作でさらに世間の評価を高めることになりました。
そして、最後に立ちはだかる大きな壁はプロレーサーとして世間に認められることです。
事故を起こしたことでヤンへの風当たりが強くなり、ル・マンで表彰台へ上がることが至上命題に。
かなり無謀なチャレンジと言われながらも、この大舞台で初めてゲームで培った才能を発揮しました。
それは通常では考えられない”ライン”をとってレースをすること。
そんなに詳しくはないですが、各コースにはそれぞれ王道の道筋が存在し、それに倣って進むことで、時間が短縮されるようなのですが、ヤンはグランツーリスモで培ったスキルと経験で自分独自のルートを導き出し、ル・マンのラップタイムレコードを更新するというとんでもない快挙を達成してしまう訳です。
こうなってくると、グランツーリスモのゲームの出来の良さも、本物に負けず劣らずの素晴らしいものであるということですよね。
そして結果3位に入り、表前台でシャンパンを開けることになりました。
まさに夢を叶えた瞬間です。
この流れからのエンディングは痺れましたね。
優勝時のゲーム画面とヤンの優勝したシーンがオーバーラップする演出も最高すぎました。
話の力に頼るだけではなく、映画としてしっかり作り込まれていた、素晴らしい脚本だと思います。
考察3:リアルを追求した映像体験
そして最後に語らなくてはいけないのは、リアルを追求した映像体験の素晴らしさです。
実話であることも、それをエンタメに落とし込んだ脚本力も秀でていましたが
それらを抜きにしても本作の映像体験は、格別の出来だったと思います。
レースカーの疾走する迫力、エンジンが鳴り響きタイヤが擦れ、声援が沸き立つ瞬間のボルテージ。
これほどまでに熱気のある映像体験は、なかなかありません。
そこに、リアルにレースが展開されているような緊迫感と息を呑むような鬼気迫るレーサーたちの汗と表情。
とにかくリアルが詰め込まれており、今年度のトップガン枠という評価も妥当であると言わざるを得ません。
さらに今作のスタントは、この映画の元になった人物、ヤン・マーデンボローが務めており、それにも驚かされましたし、このアクションシーンを通じて説得力を増していました。
リアルとゲーム画面がリンクしたような演出も、この映画ならではの良さを感じましたし、リアルを追求した極上の映像とゲーム世界がリンクした極上の演出を感じる傑作でしたね。
僕はIMAXで鑑賞したのですが、なるべく大きなスクリーンで最高の音響で見るべき作品です。
1回目が普通のスクリーンだった人は、絶対にもう1度鑑賞すべきだと感じました。
ストーリーだけでなく、こういった演出で盛り上がれるところも、今作のオススメできるポイントになっています。
まとめ
以上で「グランツーリスモ」のネタバレあり感想を終わっていきます。
個人的なツボに刺さる映画と出会えて、かなり嬉しかったですし、大満足の作品でした。
王道のストーリーと言われればその通りですが、それでも胸熱くなって楽しめる演出が、随所に散りばめられていて、最後までワクワクしながら観ることが出来ました。
今までレースに興味はあまり無かったのですが、今作を通じて少し興味が湧きましたし、映画のジャンルも、興味の幅が広がったと思います。
今作に続いて、素晴らしい映画にたくさん出会って行きたいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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