こんにちは、SATOです。
今回は映画「ナイル殺人事件」で明かされたある謎について、3つのテーマに分けて考察していきます。
映画「ナイル殺人事件」は、ケネス・ブラナー監督による、2022年のアメリカ合衆国とイギリスの合作による、ミステリースリラー映画です。
現在はアガサ・クリスティの小説で、テレビシリーズ「名探偵ポワロ」のエピソードに続く3回目の映像化です。
今作は2017年の「オリエンタル急行殺人事件」の続編で、さらに本作の続編も制作が決定されています。
今作では、ついにポワロの想い人カトリーヌとトレードマークの口髭の謎が明かされることになりました。
”ミステリーの女王”アガサ・クリスティの作品の中でも根強い人気を誇る「名探偵ポアロ」シリーズ、その中でもアガサ・クリスティ自身がお気に入りの一作にあげているのが『ナイル殺人事件』ですので、間違いなしの作品になっていると思います。
本文をお楽しみください。
映画「ナイル殺人事件」あらすじ
エジプト・ナイル川を豪華客船カルナック号が進んでいきます。
新婚旅行中のリネットとサイモン夫妻、そして招待客たちは優雅なクルーズを楽しんでいました。
しかし、ある夜、リネットが何者かに殺害されてしまいます。
名探偵エルキュール・ポアロは、偶然同船しており、密室状態で行われたこの殺人事件の真相を探っていきます。
容疑者は乗客全員で、リネットの莫大な財産、複雑な人間関係、そして嫉妬と復讐が渦巻く中、ポアロは鋭い観察眼と論理的な推理で事件の謎に迫っていくのでした。
次々と明らかになる乗客たちの秘密、そして新たな殺人の発生、愛憎が交錯する人間ドラマの中で、ポアロはついに真犯人を突き止めます。
衝撃的な結末に、誰もが息をのむこと間違いなしです。
映画「ナイル殺人事件」は、豪華な映像美と巧妙なミステリーが融合した、観客を魅惑のクルーズへと誘う、アガサ・クリスティ原作の最高傑作と言えます。
映画「ナイル殺人事件」で明らかになった、ポワロの謎とラストシーンの本当の意味
考察1:口髭の秘密
本作では、冒頭のモノクロシーンから、ポワロの過去と口髭を蓄えている理由が説明されましたね。
ポワロは戦時中に戦争に駆り出され、そこで自軍を勝利に導く戦略を披露します。
しかし、自軍の兵士が敵の罠にかかってしまい、ポワロは大爆発の巻き添えになってしまいます。
自軍の医療施設で療養していたポワロは、過去の恋人カトリーヌと再会。
カトリーヌはまだポワロのことを愛していましたし、ポワロもまた彼女のことを愛していました。
こんな綺麗で素晴らしい再会、羨ましいですよね。
しかし、ポワロは大爆発に巻き込まれたことで、顔の右半分に大きな傷跡が残ってしまったのです。
それを見たカトリーヌは、傷跡が気になるなら「口髭を生やせばいい」というアドバイスをします。
つまり、口髭はカトリーヌとの思い出であり、鏡を見るたびに彼女のことを思い出せるアイテムだったわけです。
確かに過去2作品の中で、印象的にポワロが鏡と向き合うシーンがいくつか描かれていました。
ポワロが口髭を大事に扱っているのも、想い人のためだったのだと納得できます。
過去作の中にも、細かい伏線が散りばめられいたのですね。
そして口髭が異様に横に伸びているのは、顔の傷を隠すためでもあったわけです。
ここまでの口髭の理由を踏まえると、ラストシーンの意味が少しわかってきますよね。
考察2:ラストシーンの意味
彼は事件解決後、クルーズ船で出会った(華麗なるシンガー)サロメ・オッタボーンのステージを観にいきました。
その時ポワロは、口髭を全て剃り落としていました。
そこで本作は終幕を迎えます。
カトリーヌとの思い出でもある口髭を剃るということはつまり、彼女との思い出を捨て去るということです。
中途半端ではなく、自分自身の気持ちにケジメをつけるという意味が込められていると思うと、男らしい渋い演出ですよね。
ポワロはこのエジプトでの旅の中で、オッタボーンに心惹かれていましたが、あくまでもそれは調査の一環でした。
ブークの恋人であるロザリーを調べるために、その親であるサロメを調べていました。
その調査の中でサロメに対して、確かな好意を抱いていたことは間違い無いでしょう。
では、ポワロはなぜ最後に、過去の思い出を捨ててまで、サロメのところに行ったのでしょうか?
考察3:口髭を剃った理由
その理由は2つ考えられます。
1つ目は今回エジプトで起きたナイル殺人事件が、”恋と愛”にまつわる事件だったこと。
登場人物の”恋と愛”が複雑に絡み合い、裏切り裏切られて最悪の結末を迎えました。
ポワロはさまざまな愛の形を目の当たりにしたことで、自分の愛についても考えたと思われます。
過去ではなく、未来に目を向けて、自分の愛と向き合ってみようと思い立ったのだと思います。
そして2つ目の理由は、友であるブークの死ぬ前の願いでもあるからです。
ブークは本作の事件を利用し、愛するロザリーとの生活を送るために、盗難という犯罪を犯してしまいました。
それを打ち明ける際に、真犯人であるジャッキーに撃たれて死んでしまいました。
ポワロの唯一の友人でもあるブークは、このクルーズ船の事件の中で、ポワロにも幸せになってほしいという願いを持っており、そのことを知ったポワロは、亡き友人ブークの最後の願いのためにも、自らの愛や恋に向き合うことを決めたのだと思います。
なんとも切ない話ですが、この決断を下したポワロの心情を考えると、感慨深いものがありますね。
女性と違って、男性はいつまでも過去を引きずると言われますが、ポワロにとって口髭を剃るというのは、かなりの覚悟が必要なことだったのではないでしょうか?
サロメとの恋愛が発展するかどうかは未定ですが、ポワロ自身もこの恋の騒動に巻き込まれた被害者だった訳です。
口髭も剃ったことで次回作がどのような形になるのか、すごく楽しみでもあります。
まとめ
以上で『ナイル殺人事件』で明らかになった、ポワロの口髭の謎とラストシーンの考察を終わっていきます。
カトリーヌは、ポワロのお見舞いに行く際に事故に巻き込まれて死んだとなっていますが、あくまでポワロの口から語られたのみでその死の詳細は明らかになっていません。
原作を読み込んでいるわけではないので、もしかしたら既にご存知の方もいると思いますが、続編でカトリーヌのことがより詳しく描かれるのかもしれませんね。
まだまだ楽しみな展開や内容がたくさん待っていそうで、もう既に次回作が楽しみです。
また、少し話は変わるんですが、主人公ポワロを演じながら本シリーズの監督を務めているケネス・ブラナーは凄いですね。
彼は過去に『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でハリーの腕の骨を溶かしてしまったギルデロイ・ロックハート先生を演じています。
実際はロックハート先生のようなポンコツではなく、大英帝国勲章を受賞しているすごい人なんですね。
超凄腕の映画監督でありながら、超一流の舞台・映画俳優でもあります。
偉大なスターというのは、何をやらしても上手くやるし、自分の才能を最大限に引き出せる人は見ていて尊敬しかありませんね。
その彼の半自伝的な映画「ベルファスト」が、アカデミー賞では作品賞・監督賞を含む7部門にノミネートされているので、必見の作品になっていると思います。
そちらの作品も楽しみで、是非鑑賞してみたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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