こんにちはSATOです。
今回は映画「シン・仮面ライダー」に関する気になった所と今作を踏まえた上での、“シン”シリーズの振り返りを3つ考察していきたいと思います。
映画「シン・仮面ライダー」は庵野秀明監督による2023年の日本の特撮映画です。
この映画は1971年の特撮テレビ番組『仮面ライダー』のリメイク作品で、庵野秀明が監督を務める実写作品としては、「シン・ゴジラ」(2016年)以来の作品でもあります。
興行収入20億を突破したのは、仮面ライダー映画史上初。
しかし、賛否両論が分かれている作品でもあります。
庵野秀明監督が描く新しい仮面ライダーとは?そしてシリーズを通して、”シン”とは何だったのか?
本文をお楽しみください。
映画「シン・仮面ライダー」 あらすじ
風都を舞台に、人類抹殺を企む怪人集団 ショッカーが現れ、科学者・本郷猛は、ショッカーによって改造人間・バッタ男にされる運命を背負います。
しかし、改造手術中に自我を保ち、逃亡することに成功。
緑川博士とその娘ルリ子の助けを得た本郷は、ショッカーと戦うことを決意し、博士の手によって改造された強化服を装着し、仮面ライダーに変身します。
仮面ライダーは、ショッカーの怪人たちと壮絶な戦いを繰り広げて行くのですが、戦いの中で、本郷は自身の改造人間としての葛藤や、ショッカーの目的、そして人類の未来と向き合っていくことになります。
映画「シン・仮面ライダー」は、仮面ライダー誕生の秘密、ショッカーとの壮絶な戦い、そして衝撃的な結末までを描いており、最後までドキドキしながら楽しめる作品となっています。
賛否両論?シン仮面ライダーを踏まえた上で、”シン”シリーズを振り返る3つの考察
考察1:敵の死が爆発ではなく、血。
今作は一言で言うと2人の人間が”仮面ライダーになっていくまでの物語”です。
もちろん物語がスタートした瞬間から本郷猛に超人的なパワーと私たちが知る仮面ライダーの機能は備わっていました。
しかし、彼自身の心は違います。
圧倒的な力を手にした本郷は、敵を無慈悲に薙ぎ倒していくわけですが、”心”は無事ではありません。
だから彼は、悩み、苦しみ、戸惑い、そしてルリ子との旅で少しずつ仮面ライダーになるのです。
仮面ライダーである前に1人の人間であるということがとてもリアルに描かれていて、従来のヒーロー作品とは、一味違う一面が見れてとても良かったと思います。
さらに圧倒的な力を象徴するモチーフとして印象的に用いられていたのが、敵から流れる”血”でした。
これまでの仮面ライダーは敵を”倒す”、もしくは敵自ら”自爆する”という最後を迎えることが多いですが、本作はバッタオーグとなった本郷が自らの手で、敵を絶命させていることが、しっかり描かれています。
初めは結構グロテスクだなと感じましたが、常人では耐えかねるほどの重責と命を奪うことへの後悔を考えると、それをとても色濃く感じる事が出来て、非常に効果的な演出だと思いました。
敵を倒した後に本郷は敵のほうを向いて少し頭を下げています。
これは命を奪ったことへの謝罪であり、仮面ライダーを1人の人間として描くには絶対に必要なポーズでもあります。
またそんな本郷の背中を見て、飄々としていた一文字も仮面ライダー2号として、信念を持つように変わっていく姿もとても良かったです。
仮面ライダーというヒーローを新解釈し、1人の生身の人間として描く手法は、さすが庵野監督という感じです。
筆者的には大満足でした。
ただし、マインドセットが少し甘いかなとも思いました。
本郷がルリ子を大切にする理由が、緑川先生の遺言だからというのは流石に無理がありますし、ルリ子自身の深掘りもかなり少なかったので、感情移入しにくい作品になっていた印象です。
そこが少し残念に思いましたし、賛否両論の要因になっていた気がします。
考察2:ライダーのコスチュームに隠された意味
今回の仮面ライダーはデザインが刷新し、モダンでミステリアスなコスチュームに変更されていました。
正直このデザインがカッコ良すぎて、庵野監督率いるデザイン・衣装チームを本当に讃えたいですし、いくつになってもカッコいいものを見て、心ときめく感情は変わらないんだなと改めて思い知らされました。
そしてこの衣装も物語と連動して、少しずつ変化していて、重要なアイテムになってきます。
それが、それぞれの仮面ライダーが着用している”黒いコート”です。
筆者の考えでは、このコートを着用している時はまだ本当の意味で仮面ライダーになり切れておらず、その一歩手前、昆虫に例えると脱皮する直前の状態なのかなと感じました。
本郷も一文字も初めからすぐ仮面ライダーを受け入れたわけではなく、葛藤した上で少しずつ仮面ライダーになっていきます。
そして、仮面ライダーとしての覚悟を決めていくにつれて、あの黒いコートは姿を消していきました。
ラストのチョウオーグとの戦いでは、2人とも黒いコートを羽織っていません。
そしてもう一つ、それとは対照的に目立ってくるアイテムが、ルリ子から渡された”赤いマフラー”です。
正義と優しさ、そして覚悟の象徴でもあるこの赤いマフラーがどんどん似合うようになってくる様は、視覚的にも物語的にも面白い仕掛けになっていたと思います。
考察3:”シン”の意味
今作を最後に、7年にも及ぶ”シン”シリーズが幕を閉じたわけですが、結局のところ”シン”とは一体何だったのか?というのを考えてみたいと思います。
ちなみに本当の意味は庵野監督しか知りません。
なので、私たちはこれまでの作品の中から共通項を探し、納得できる結論を導きだすしかないのですが、筆者の中で1番しっくりきている表現は”真(本当の)”という意味です。
ここで指し示している真の意味は、”リアリティ”の話です。
シリーズ化された今でこそ、アクションシーンの派手さや設定の奇抜さなどに目が行きがちですが、本来ヒーローとは”心”の部分が最も重要です。
ヒーロー達はいつも危機に駆けつけて、敵を倒し、孤独に去っていきます。
「その時彼らは何を考えているのか?」
「本当にヒーローは正義感で満ち溢れているのか?」
そんな疑問に対して、私たち大人世代が納得できるように補完しているのが、”シン”シリーズではないでしょうか。
かつての名作達にリアリティを追求し、そして脚本と演出によって原作の良さを踏襲したまま、違和感の無いように上書きすることで、結果として、現代版にアップグレードされています。
ヒーローを夢見た少年時代から変わらないものと、酸いも甘いも経験した大人になって変わったもの、どちらも大事なことを改めて考えさせてくれる映画でした。
あくまで仮説でしかありませんが、筆者的にはそういう解釈をしてみました。
まとめ
今回は、シン仮面ライダーを踏まえた上で、”シン”シリーズを振り返る3つの考察について書いていきました。
今作で、”シン”シリーズ最後の作品となるのが、とても名残惜しいですね。
筆者的には、庵野監督のすごさを改めて実感して、満足できる作品でした。
ですが見る人によって賛否両論別れてしまうというのも納得できる作品でしたね。
また次回の庵野監督の作品も楽しみです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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