【俺的な考察】映画「すずめの戸締まり」を見た率直な感想TOP3

映画考察

こんにちはSATOです。

今回は映画「すずめの戸締まり」の率直な感想について3つのポイントに分けて、深掘りしていきたいと思います。

映画「すずめの戸締まり」は新海誠監督による2022年の日本のアニメーション映画です。

「君の名は。」や「天気の子」に続く、3年ぶりの最新作で、興行収入147.9億円を超えた大ヒット映画です。

今作は過去2作品とは決定的に題材への向き合い方が重要になってくる作品ですし、その分ストーリーや細かな描写、設定などに重要な意味が含まれていた作品でした。

鑑賞直後の思いを含めながら書いていきます。

本文をお楽しみください。

映画「すずめの戸締まり」 あらすじ

九州の港町で暮らす17歳の少女・岩戸鈴芽は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・宗像草太と出会います。

彼の後を追ったすずめが、山中の廃墟で見つけたのは、まるで異世界に通じるかのような古い扉でした。

やがて日本各地で扉が開き始め、その向こうから災いが現れるようになり、災いを防ぐために、すずめと草太は共に扉を閉める旅に出かけます。

旅の中で、すずめは謎の白い猫・ダイジンや、かつて災いを封じたという閉じ師の老人・芹澤と共に、様々な困難に立ち向かっていきます。

扉の向こう側にある真実、そしてすずめの過去と未来が交錯し、物語は予想外の展開へと加速していくのです。

果たして、すずめは全ての扉を閉め、日本を救うことができるのでしょうか?

映画「すずめの戸締まり」は、新海誠監督による壮大な冒険物語で、美しい映像と音楽、そして心揺さぶるストーリーが織りなす、感動の作品になっています。

美しい映像だけでなく、生と死について考えさせられる「すずめの戸締り」を3つのポイントで深掘り

考察1:震災を描く覚悟

新海誠監督はこれまでも自然との関わりを物語の軸として書いてきました。

そして今作が描いた災害は”地震”です。

劇中では明言されていませんが、東日本大震災の後を描いた作品になっています。

想像よりもリアルに身近に”震災”を捉えていて、正直鑑賞するのがなかなかに辛い作品でした。

常世からミミズが出てきて大地を揺らすという設定自体は、かなりSF要素が強いのですが、その時の携帯の音や津波の町内放送などが私たちの身近に起きている現象だったので、SF作品と割り切ることは個人的には難しかったですね。

震災前、いろんな人同士が「おはよう」「いってらっしゃい」「いってきます」と声を交わし、震災後、母と家をなくしたすずめが1人被災地を歩くまでの、その一瞬の出来事を想像してしまい、言葉にできない想いが込み上げてきて、涙しました。

「当たり前だったことが、当たり前では無くなってしまう」

普段は目を背けて、どこかで考えないようにしてしまっている自分に気付かされました。

実際にすずめのような子供たちはたくさんいたと思いますし、見送った人々の「おかえり」を聞けなかった人もたくさんいます。

ただ、今作は東日本大震災という、かつてない災害の記憶に取り残されたすずめという少女が、草太という青年と出会い、忘れられた廃墟や記憶を巡りながら自分を肯定していく物語です。

新海誠監督もインタビューでこの題材を扱うことの不安を口にしていましたし、決して万人がすずめのように考えられるとは思いません。

でもそれでも生きていくために、新海監督自身の想いをこの映画に込めて、私たちに伝えてくれたのだと思います。

すずめが幼き頃の自分に向かって、「私はすずめの明日」とメッセージを託すように、私たちも過去の経験と向き合い、乗り越え、明日に向かって前を向いていくことも大事なんだと、そういう想いが込められていたと思います。

改めてこのタイミングで災害を描き切る覚悟と新海監督の想いを伝えるという姿勢にとても感動しました。

考察2:女性が男性を探す物語

「君の名は」は瀧くんが三葉を探すお話で、「天気の子」は帆高が陽菜を探すお話でした。

しかし今作では、姿を変えられた草太を元に戻すため、すずめが頑張るお話です。

これまでの作品とは違い、男女の関係が逆転して描かれているんですね。

理不尽な環境に追いやられた想い人を救うために奔走するというプロット自体は、過去作同様ですが、主人公の性別が逆転することでかなり新鮮みがありましたし、その場その場で味方を作っていくバイタリティみたいなものは、すずめのような子だったからこそ、描くことが出来たと思います。

また、今作はすずめの家族というのも重要なテーマの一つになっています。

育ての親である環さんが、娘同然のすずめを心配するのは至極当然のことでしたし、環さんからの超長文LINEとかもめっちゃリアリティがあって、現代のコミュニケーションを良く分析しているなと感心しました。

あと、今作で改めて感じたのは女子高生の制服って映像作品だと武器になりますよね。

これは変な意味ではなくて、草太を常世に助けに行く際、制服に着替え、髪を結びなおすことで、すずめの覚悟や決意を感じましたし、制服で戦う少女の纒うカッコ良さみたいなものは、いつの時代でも廃れないのだなと再認識させられました。

女性視点から描くことで、これまでの新海作品には無い面白みやストーリーが随所に見られてとても良かったです。

自分というものをしっかり持っていて、誰かのために全力を尽くせる人というのは、性別関係なくカッコ良いですし、男だからとか女だからということより、人としてどうあるべきかが大切なんだなと勉強になりました。

考察3:ロードムービーとしての楽しさ

今作は震災という非常に重く辛い現実をテーマに描かれていましたが、一方で過去に類を見ないほどのコミカルでエンターテイメントな要素もありました。

その主軸であったのが、すずめがダイジンを探すために椅子になった草太と日本縦断の旅に出る物語です。

一種のロードムービーが物語の主軸のひとつとなっており、このパートは非常に好きな部分でした。

田舎に住んでいた1人の少女が、多くの人に助けられ、その土地で思い出をつくり、そして各地方の風景や展開に一喜一憂する様は、こちらもワクワクする展開ばかりで癒されました。

さらに、可愛い姿をした猫(ダイジン)と黄色の椅子(草太)が追いかけっこするシーンはかなりコミカルでしたし、幅広い年代の感性に届くような仕掛けが、この旅を通じて散りばめられていると思います。

個人的には愛媛で出会った千果と宿で一緒にご飯を食べるシーンや、神戸で出会ったルミさんがすずめを実の娘のように心配し、3人で焼きうどんを食べたシーンなど、食に関するシーンが何故だか印象的でした。

難しいテーマだからこそ、人と人との繋がりが際立つし、誰かを大切に想う気持ちというのが、何気ないシーンからでも充分に感じ取ることが出来たと思います。

これらの旅を通じてすずめという1人の少女が成長していく物語、その過程を日本縦断で描いていたのは良かったですね。

まとめ

今回は映画「すずめの戸締まり」の率直な感想について、3つのポイントに分けて、深掘りしていきました。

新海誠監督は過去作があまりにも評価が高いため、毎度の如くハードルが上がっているのですが、それでもここまで素晴らしい作品を描くのは流石としか言いようがありません。

今作は震災という非常に難しいテーマだったので、見る人によって感想が大きく異なると思います。

ですが、どんな受け取り方であっても、1人1人がこの作品を通じて震災を忘れずに向き合い、受け止めて乗り越えていくことの大変さと大切さを感じることに大きな意味があると思いました。

次回はどんな新海誠監督の作品が見れるのか、とても楽しみです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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