【考察】映画「DUNE/砂の惑星」の難しいポイント3つを解説してみます

映画考察

こんにちはSATOです。

今回は、映画「DUNE/砂の惑星」で、視聴者のダイレクトな疑問に関して、原作も鑑みながら3つのポイントに分けて、丁寧に説明していきたいと思っています。

映画「DUNE/砂の惑星」はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による、2021年のアメリカ合衆国の叙事詩的SF映画です。

この映画は、1971年以降複数の映画製作者が映画化の権利を所有するなど、何度も映画化が試みられましたが、物語の複雑さ、重厚さによって、映像化が困難な小説とされていました。

そんな作品を「未だかつてないシネマエクスペリエンス」にまで完璧に仕上げ切ったのが、監督のドゥニ・ヴィルヌーヴと音楽を担当したハンス・ジマーです。

一体どんな凄い作品になっているのでしょうか?

本文をお楽しみください。

映画「DUNE/砂の惑星」のあらすじ

西暦1万190年、宇宙帝国を築いた人類は、各惑星を1つの大領家が治める厳格な身分制度のもと生きていました。

皇帝の命で、アトレイデス家は希少な香料メランジを産出する砂の惑星「デューン」を統治することになりますが、それは宿敵ハルコンネン家と皇帝の罠だったのです。

襲撃を受け、父を殺されたアトレイデス家の後継者ポールは、砂漠の民フレメンの少女チャニと出会い、運命に導かれるように覚醒していき、砂の民を率いて、全宇宙をかけた戦いに身を投じていきます。

父を殺した敵への復讐、そして人類の未来を背負ったポールの壮大な戦いが今、始まります。

映画「DUNE /砂の惑星」の難解ポイントを、3つに分けてしっかり解説

考察1:なぜ10190年なのか?

「DUNE 砂の惑星」の時代設定は、西暦10190年と現在より8000年以上も先の遠未来となっています。

映画ではこの時代に関する説明はされていませんが、原作では、この期間にAIの反乱があったという説明がされています。

知能の発達により、人類は奴隷となっていましたが、大反乱を起こして人工知能に勝利した後の世界なのですね。

そのため、10190年という遠未来にも関わらず、人工知能やコンピュータなどのシステムは存在せずに、宇宙帝国を主とした完全統治制度が敷かれており、それぞれの領主も部隊を持つことで武力を保持しています。

資源に関してもデータ保持などによって立場の優位性を示す描写はなく、砂の惑星のメランジという、いち物質をめぐる争いが勃発しているので、この時代では、AIやコンピュータを作る技術はあるが禁止されており、その技術のほとんどが、右中間を移動する宇宙船や、資源を採取する機械、そして、武力を向上するシールドなどに採用されていると考えられます。

最近のものすごいスピードでのAIの発展を考えると、実際にこういう世界が来るかもしれないと少し考えてしまいますね。

AIを賢く使って便利な世の中は大歓迎ですが、奴隷にされてしまうのは恐ろしすぎます。

考察2:ポールはなにを救世するのか?

本作はアトレイデス家の後継者であるポールが、さまざまな勢力や思惑に巻き込まれ成長していく物語でもありますが、そんな中で彼が救世主として世界を変えていく存在であることは、比較的簡単に説明されていたので、理解した方も多いと思います。

ですが、いったいポールは何をどう救世するのかという点が、まとまって整理されていなかったので、その部分をフォローしていきたいと思います。

本作の主人公ポールには、ふたつの重要な役割が与えられています。

ひとつ目は惑星アラキスの先住民フレメンが望んでいる、「リサン=アル=ガイブ」という存在です。

この「リサン=アル=ガイブ」という存在が何を期待されているのかを一言で言うと、惑星アラキスを水資源あふれる豊かな惑星にすることです。

宇宙で最も貴重な資源であるメランジが、惑星アラキスでしか採取できないため、フレミンたち先住民は抑圧され、困窮しています。

ただ惑星アラキスの地下には水があり、本来は自然豊かな惑星にすることが可能なので宇宙帝国の支配から解放し、惑星アラキスと先住民フレメンに豊かな環境をもたらす救世主を求めているわけですね。

ポールはアトレイレス家の領主として、宇宙帝国の皇帝の座に就こうと企んでいるので、「リサン=アル=ガイブ」には相応しい人材です。

そして、もうひとつの重要な役割が、ポールの母親も所属している女性のみの秘密組織「ベネ・ゲセリット」が望む存在「クウィサッツ・ハデラック」ですね。

もう本当に難解な言葉ばかりで困惑してしまいますね、、泣

「クウィサッツ・ハデラック」は複数の未来を視ることができ、同時に多数の場所に存在できるものという意味です。

そもそも、「ベネ・ゲセリット」という組織が、何を企んでいるのかということに関しては、詳細には描かれていませんが、今の宇宙のバランスを崩して、彼女ら組織の目的を牽引する未知の存在として期待されているのが「クウィサッツ・ハデラック」です。

「クウィサッツ・ハデラック」をこの世に産み落とすために、組織の女性は公家の側女となり、子供を産んでいるわけです。

そのひとりが、アトレイデス家の側女となり、ポールの母親となったジェシカですね。

彼女はポールを「クウィサッツ・ハデラック」だと信じ、「ベネ・ゲセリット」しか扱えない「声<ボイス>」を教えていました。

ジェシカのこの行いは、組織のルールに反するものであり、組織のTOPである教母の反感を買っていました。

さらに、ポールは教母に”本物”かどうか分からないと言われていたので、彼が本当に「クウィサッツ・ハデラック」なのかは謎のままです。

ジェシカが妊娠していたのも、ポールが本物”でなかった時に備えて、次の選択肢を増やすためだったわけですね。

このようにして、ポールは自らの知らぬところで、大きなふたつの役割を与えられた主人公だったというわけです。

今作からは、女性の強さというか怖さというか、生き抜いていく力強さを感じましたし、女性が物語の重要なポイントにもなっているのをすごく感じました。

考察3:メランジの重要性とポールの覚醒

「DUNE砂の惑星」の物語の中で最も重要なアイテムは、惑星アラキスの地表を覆っているメランジという成分です。

このメランジが、なぜこんなにも重要なのかということに関して、作中で<宇宙のエネルギー源>であるという説明がありましたが、

原作では、それに加えて<老化を防ぐ能力>と<人間の能力を拡張する>効果があると語られています。

それにより、メランジの争奪戦が激化しているわけですね。

このあたりの説明が個人的には、もう少し詳しくあったほうが、物語に入り込みやすくて良かったのかなと思いました。

そして、メランジの<人間の能力を拡張する>効果によって、ポールの未来を視る能力が強化されています。

惑星アラキスに来る前のポールは、夢の中でフレメンの女性をぼんやりと確認する程度でしたが、惑星アラキスに降り立ち、メランジを吸引することで、さらに具体的で多様な未来を視ることが出来るようになっています。

また、ポールの能力はあくまで”今後起こりうる”<未来を視る>ことで、必ず起こる未来ではありません。

その未来を望むのか、防ぐのか、ポール自身は都度、選択することが出来ると考えられるので、物語終盤のフレメンとの決闘では未来に抗い、自身が生き残る選択をしました。

今後、ボールは惑星アラキスの砂の民として、フレメンに様々なスキルや生き方を教えてもらうことになるでしょうし、メランジによる覚醒も進んでいくと思われるので、未来を視る能力に磨きがかかっていくと想定されます。

フレメンはサンドワームを操る術も心得ているので、今後さらに強くなったポールは世界から狙われる標的になるわけですね。

まとめ

以上で、3つの難解ポイントの解説を終了していきたいと思います。

そもそも難解な作品をどう魅力的に見せて、商業化的に成功させるかという点で、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、そのスケール感を映像美と音楽で表現することに特化していたので、ストーリーの複雑さは副産物的に残りましたが、現代の映画に関する全ての技術が詰まった作品には間違いないので、未鑑賞の方はこの動画で少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

また、超絶イケメン俳優ティモシー・シャラメを中心に、映画界を代表する方々の素晴らしい演技がみれるので、それだけでも十分な価値があると思います。

2部構成という噂なので、本作をちゃんと理解した上で自作に期待したいですね!

また、理解した上でもう一度見返してみると、さらに物語に入り込んでいくことが出来て、楽しみの幅を広げることが出来ると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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