【考察】映画「ノック 終末の訪問者」が酷評を受ける3つの観点

映画考察
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こんにちはSATOです。

今回は映画「ノック 終末の訪問者」の何が原因で世間の評価を損ねたのかというのを3つの観点で解説していきたいと思います。

映画「ノック 終末の訪問者」はM・ナイト・シャマラン監督による2023年のアメリカ合衆国のスリラー映画です。

この映画は、ポール・トレンブレイの小説「終末の訪問者」を原作にしていて、世界の終末と家族の命を守るために決断を迫られる一家の危機を描いたスリラー作品になっています。

どんでん返しや予想外の展開が多いシャマラン作品の良さが出ていなかったわけではないと思います。

ですが筆者的には、たまに大外れをするとも言われているシャマラン作品の代表格という感じがして、とても残念だったのも正直な感想です。

本文をお楽しみください。

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映画「ノック 終末の訪問者」 あらすじ

エリック、アンドリュー、ウェンの家族3人は、山奥のキャビンで休暇を過ごしていました。

ある夜、4人の訪問者が現れ、家族を拘束してしまいます。

訪問者たちは、奇妙な言葉を語り、3人に「家族の誰か1人を生贄に捧げなければ、世界は滅亡する。」と究極の選択を迫るのです。

混乱と恐怖の中、3人は選択を迫られ、父親のエリックは、娘を守るために自ら命を絶とうとしますが、アンドリューは愛する家族を犠牲にすることを拒否します。

絶望的な状況の中、ウェンは不思議な力に目覚め、物語は更なる展開へと発展して行きます。

果たして、家族は世界を救うために愛する人を犠牲にするのでしょうか?

それとも、別の方法を見つけ出すことができるのでしょうか?

映画「ノック 終末の訪問者」は、愛する人を守るために何を犠牲にすることができるのかという問いを投げかけてきます。

衝撃的な展開と結末が待っていて、最後まで見逃せない作品となっています。

シャマラン作品たまに大外れの代表格?世間の評価を損ねた原因を3つの観点とは?

世間の評価を損ねた原因を3つの観点で解説していきます。

考察1 彼らが選ばれた理由

シャマランは作品ごとに、重要で普遍的なテーマを持っていることでも有名です。

例えば、『スプリット』では”人格”という、誰もが持ち合わせているあらゆる内面にフォーカスし、直近の作品『OLD』では”老い”をテーマに人類が逆らうことのできない運命を鮮烈に描いていました。

テーマがあるからこそ、物語にさらにのめり込んでいけたり、見終わった後になるほどなと納得感が上がるように思います。

そして本作でテーマに描かれていたのは”選択”です。

普遍かつ不変のテーマである”選択”をシャマランは黙示録に準えて描きました。

トロッコ問題”にも代表されるような、全人類をとるか家族をとるかという、明らかに被害の大きさが変わってくるにも関わらず正しい選択、正解のない問題です。

そしてその選択を放棄すると黙示録にあるような凄惨な世の中へと徐々に変化してしまうので、映画というフォーマットに落とし込むテーマとしては非常に面白いものだと思いますが、肝心の要素が完全に抜け落ちていた、と思います。

それは何かと言うと、選択をする彼ら3人が選ばれた理由です。

ビジョンを見た4人組はあの場であの家族に選択をさせる必要があるのですが、どうして同性愛者と養子に迎えられた子供の3人家族が選ばれたのか?

その理由が一切描かれていません。

シャマランであればそういう謎はちゃんと回収して、納得度の高い説明をしてくれるハズなのですが、それがなかったのはかなり残念でしたね。

彼らの過去が関係していたり、娘が特別な役割を担っていたり、もしかしたら何かあるのかもしれないですが、全くわからなかったです。

選択”をテーマに据えているのであれば、ちゃんとそこは描き切って欲しかったですね。

そこがシャマラン作品には珍しくテーマがマイナスの要因となってしまったポイントのように感じました。

考察2 アンチどんでん返し

今作は一見どんでん返しがなかったように見える作品ですが、実はこれまでとは違う形でどんでん返しが組み込まれていました。

どういうことかというと、本作はネタバレを物語序盤でしていて、これがまず布石になっていますね。

”選択しないと全人類が滅ぶ?”これが布石となり、全くの嘘であるかのように話が進みます。

終始、ヤバい宗教の奴らに絡まれたと思ったり、逮捕されたことの復讐にきたのかもしれないと感じたり、まさか本当に世界が崩壊しているとは思いもしない訳です。

しかし、いざ外の世界に出ると本当に飛行機が空中から落ちてきて、落雷で森が焼けている様を目撃することとなります。

そして選択をすると世界の異変が少しずつ収まっていくのです。

つまり、まさか嘘だと思っていた世界崩壊が実はリアルで、押しかけた4人組はカルト宗教信者でも復讐者でもなく本当にビジョンを見た救世主だったということですね。

ありえないシチュエーションが実は本当だったという、これまでとは毛色の違うどんでん返しが施されていました。

どんでん返しを期待している観客にとっては、アンチどんでん返しとも呼べる手法を使っていましたね。

試みとしては面白いと思うのですが、これが個人的にはすごく逆効果で、拍子抜けという感じになっていたような気がします。

答えを先に知ってしまっているのでその答えが本当に正解でしたと言われても「あ、そうなんだ」で終わってしまって驚きとか全くなかったんですよね。

これがB級映画っぽさを増してしまった要因だと思います。

あとは説明がなさすぎるのもどうかと思いました。

4人組が1人ずつ命を奪われていくシーンですが、これはおそらく人類を滅ぼす神的な存在が彼らに乗り移っていて、あの瞬間は彼らの意志で動いていないと思われます。

人類を4分の1ずつ減らしていくため、4人が1人ずつ命を絶っていったんですね。

こういったことが、鑑賞しているときは全くわからなかったですし、だいぶ理解力を試されている気がしました。

これまでのシャマラン作品を見ている人でも、ん?と思う所が多かったと思うので、初めてのシャマラン作品が今作だった人からすると、何を伝えたいのかが全く分からなかったという人も多い作品となってしまったのではないでしょうか。

考察3 マジで怖くない

これまでの2つの観点は、内容とかテーマに関わる部分だったのですが、まあ、正直そんなのはどうでもいいんですよ。

僕たちはシャマラン映画にスリルや気味の悪さを求めているわけで、最低限映像でそれを表現してほしいんですね。

「なんかよく分からないけど、とにかく怖い」

これだけでも立派なスリラー作品だと筆者的には思います。

にも関わらず本作は全くと言っていいほど怖くない・・・。

驚きもなくスリルも皆無なんです。

飛行機が落下してきたり、津波が襲ってくるシーンは確かにリアリティがあったと思いますが、革新的な映像表現や目を覆いたくなるようなシーンはなかったですし、4人がそれぞれ命を落とすシーンも、グロい感じではなく遠距離アングルでもったいないなと思いました。

ただ、デイヴ・バウティスタ演じるレナードは最高すぎました。

これだけは本当に絶賛したいです。

とんでもないデカさにも関わらず常に冷静で落ち着いていて、それでいてエゲツない選択を迫ってくる威圧感が、めちゃくちゃキャラが立っていてよかったですね。

カルト宗教にのめり込んでいる雰囲気もありますし、教え子を愛している優しさも感じる演技になっていました。

MCUのドラックスのイメージしかなかったので、こんなにいい俳優なのかと驚きましたね。

まあ、でも良かったのは本当にそのくらいでした・・・。

せっかくいい演技をしていても、他の要素が足を引っ張りすぎて、イマイチのめり込んで見ることが出来なかったように思います。

まとめ

今回は映画「ノック 終末の訪問者」の何が原因で世間の評価を損ねたのかというのを3つの観点で解説していきました。

割と酷評してしまいましたが、この作品だけで彼の評価が変わることはありません。

今までの素晴らしい作品もたくさんありますし、独特の雰囲気を出す所は、シャマラン作品の醍醐味とも言えます。

ですが、期待が大きすぎるがゆえに、今回は筆者的には残念に感じてしまった作品でした。

次回作は何をテーマに描いてくれるのか期待して待ちたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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