【考察】映画「沈黙のパレード」の3つの見どころを紹介!

映画考察
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こんにちは。SATOです。

今回は映画「沈黙のパレード」の中で、ミスリードを誘った罠(時の伏線)と、そのほかの見どころについてを3つのテーマに分けて、感想形式で解説していきたいと思います。

映画「沈黙のパレード」は、西谷弘監督による、2022年の日本のミステリー・スリラー映画です。

東野圭吾の推理小説をテレビドラマ化した、「ガリレオ」の劇場版第3作として、公開されました。

前作『真夏の方程式』は2013年公開なので、今作は、実に9年ぶりということになります。

前2作とも大人気で素晴らしい映画でしたが、今作も、サスペンス好き、ミステリー慣れしていればいるほど騙される展開に、完全に心を持っていかれる人が多いではないでしょうか?

本文をお楽しみください。

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映画「沈黙のパレード」あらすじ

天才物理学者・湯川学のもとに、警視庁捜査一課の刑事・内海薫が訪れます。

数年前、女子学生が殺害された事件で、容疑者として浮上したのは、草薙刑事の旧友・蓮沼寛一でした。

蓮沼は完全黙秘を貫き、証拠不十分で釈放され、その後、被害者家族の前に現れ挑発するような言動で、町中から恨みを買っていたのです。

そして、夏祭りのパレード当日、蓮沼は謎の人物によって殺害されてしまいます。

事件の真相を追い、湯川と内海は再びタッグを組み、殺害現場に残された奇妙な状況、関係者たちの隠された秘密、そして事件の背後に潜む“3つの密室”といった難解に挑んでいきます。

湯川は物理学的な視点から事件を解き明かしていくのですが、浮かび上がるのは、誰もが予想していなかった真実だったのです。

沈黙の行進が導く先には、一体どんな衝撃の結末が待ち受けているのでしょうか?

映画「沈黙のパレード」は愛憎、復讐、そして人間の心の闇などが、リアルに描かれた作品です。

映画「沈黙のパレード」を3つのテーマに分けて、感想形式で解説

考察1:巧妙に仕掛けられた罠

今作はミステリー作品として、4回ほどミスリードを生むような意図的な罠があったと感じています。

まずは並木佐織を愛していた、商店街の人々全員による共犯ではないかというミスリードです。

『オリエント急行殺人事件』に代表されるように、もはやミステリーの王道展開です。

この時点でもう既に、嵌められていたと言っても過言ではありません。

基本的に物語中盤までは、この線で進んでいるかのように錯覚させる展開が多かったですね。

続いて菊野市に住む音楽プロデューサー新倉直紀の単独犯というミスリード。

僕はずっとこの線が有力だと思って鑑賞していました。

教え子である留美を妻にしているので、同じ手口で佐織にも近づいている可能性がありましたし、留美が歌手として成功しなかったので、その夢を佐織に託していたが、断られて激昂した線もありました。

僕の予想では過去の少女殺害事件も、この新倉直紀が犯したもので、それら全ての罪を蓮沼に着せようとしていたと思いました。

新倉直紀が自首して計画を話し始めた時は、

”完全に読み通り”と鼻高々な気持ちだったのですが、この物語にはまだまだ先の展開が待ち受けていましたね。

完全にしてやられました。

続いてのミスリードは新倉直紀の妻、留美の犯行であるというミスリードです。

歌手としての才能があり、さらに子供まで宿している佐織に嫉妬して、犯行に至った可能性がありました。

この展開は大筋間違ってはいませんでしたが、あくまでも事故でしたし、一方的な犯行動機ではありませんでした。

そしてこれら一連の事件の真相である、蓮沼寛一の犯行が、最後に明かされるのでした。

蓮沼寛一の部屋にあった血痕付きのシャツや

わざわざ「なみきや」に通う必要性など、よくよく考えてみると確かに本線に張られた伏線はあったんですけど、他の線に惑わされて気付きませんでしたね。

ミステリー好きな人ほどいろんな伏線に気付きやすいという習性を見事に欺くような展開になっていて、真相がわかっていくリズムがとにかく心地よく、また飽きさせない工夫になっていたと思います。

改めて映画のテンポや、リズムの大切さを思い知らされました。

久々に気持ちよく騙された1本でしたし、ミステリー好きなら一度は予想にチャレンジしてほしい作品です。

考察2:最高の演者と最高の演技

最早言うまでもないことですが、演者さんの演技が最高すぎました

各パートごとにいい味を出している役者が多くて、かなり感情移入して鑑賞していましたね。

まずは蓮沼寛一を演じた村上淳さんが最高に最低でした。

最低を最高に演じるというのは、演者さんからすればとてと難しいことなのではないでしょうか。

「なみきや」に訪れた際の横柄な態度とタバコを捨てて店を出ていく様には、映画館の観客全員が蓮沼に、間違いなく憎悪を抱いていたことでしょう。

その抱いた感情こそが、村上淳さんの演技力の高さを証明していると言えるのではないでしょうか?

彼が常に最低な人格であり、かつ掴みどころのない蓮沼を見事に演じていたため、この物語に共通の敵として、1本芯が通っていたと思います。

あとは、並木祐太郎を演じていた飯尾和さんの演技が個人的には一番感情移入しましたね。

芸人出身とは思えない完璧な父親を演じていましたし、”怒り”を顔で、声で、肌で伝える演技は、特に素晴らしかったです。

ただ、なんといっても今作一番心を持っていかれたキャラクターは、北村一輝さん演じる草薙後平でしたね。

ガリレオシリーズの主人公が福山雅治さん演じる湯川であることは間違いないですし、もちろん存在感もありました。

ただ、草薙の苦悩と葛藤、疲労と希望があまりにも鮮烈に伝わってきたので、今作に関しては主役を完全に食っていたと思います。

全ての事件の真相が判明し、取調室で新倉に真実を話すように迫る草薙の演技は、もう最高に痺れましたね。

他も佐織の恋人役を演じた岡本天音さんや、

蓮沼に妹を自殺に追い込まれた増村を演じた酒向芳さんなど、個人的に好きな役者さんたちが、相変わらずいい演技をされていた作品だったなと思います。

考察3:タイトルが秀逸

映画鑑賞前から思っていたんですけど、『沈黙のパレード』って超秀逸なタイトルだと思います。

”沈黙”と”パレード”は意味的には相対する意味合いですよね。

ただ、この映画が終わった時にこのタイトルの秀逸さに気付かされるんです。

この映画でパレードが指し示しているのは、菊野市が開催している夏祭りのことですね。

そして”沈黙”とは密かに進められていた、

蓮沼の暗殺計画のことを指し示しています。

商店街の面々は菊野市のパレードの狂騒を隠れて裏で、沈黙のパレード(計画)を進めていました。

そしてその計画は決して口外しない、つまり”沈黙”を守り続けることが必要な作戦です。

実は蓮沼暗殺計画が、蓮沼自身の手口でもある”沈黙”によって成立する仕掛けになっていました。

そして最後は草薙の刑事としての想いが、新倉直紀の沈黙を破ることになり、パレードは終焉に向かいました。

また、商店街の面々にとって佐織のいない夏祭りなど、”沈黙”に等しいものだったのかもしれません。

“黙秘”にフォーカスを当てた、非常に秀逸なタイトルだったと改めて感じました。

こういったことをタイトルから考察出来るところも楽しいですし、純粋にセンスに溢れていて、素晴らしいなと思いました。

まとめ

以上で『沈黙のパレード』の感想を終わっていきます。

本作は本当に見どころしかない、素晴らしい作品だったと思うのですが、強いて1点だけ少しだけ要望をお伝えすると、湯川教授の実験や推察がもう少し化学寄りだとよかったです。

割と湯川教授が、警察的な動きをしていた印象だったので、実験シーンがもう少し欲しかったですね。

ただ、ガリレオシリーズは映像化されていない作品もあるので、是非映画の続編でその辺りがちゃんと描かれると嬉しいです。

主演を演じる福山雅治さん自身も続編には前向きなコメントを残していたので、割と実現性が高いのではないかと、密かにワクワクしております。

次回の作品もとても楽しみにさせる、良い作品だったと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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